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第112話 | (かめのまつ) 亀の松(袋井市) |
西同笠(にしどうり)から海岸へ出る道路の東側(ひがしがわ)に、「亀の松」という枝(えだ)ぶりのよい大きな松があります。大むかしは、この近くまで波の打ちよせる海岸だったといいます。 今から数百年前のある日、大地しんが起こりました。まもなくおしよせた大津波(おおつなみ)によって、多くの村人たちが死(し)に、さらわれて行方不明(ゆくえふめい)になりました。 その時、村一番の働(はたら)き者と評判(ひょうばん)の青年も、かわいそうにつまと小さい子どもを津波(つなみ)にさらわれてしまいました。なげき悲しんだ青年(せいねん)は、村の鎮守様(ちんじゅさま)に 「どうか、つまと子どもが生きていてくれるように。」 と一生けんめいおいのりしました。 そしてその夜、つかれた体を横にして、うとうととした時でした。はっとして目をあけると、まくらもとにきれいな女の人が立っていました。 「あなたの子どもが、この先のはまべにいるから案内(あんない)しましょう。」 というのです。びっくりぎょうてんした青年が、さっそく女の人について海岸まで行くと、いつのまにか女の人の姿は消えてしまいました。 ゆめごこちのまま、海岸に流れついた木(こ)っぱの山を見つめていると、その上に、おさないわが子の無事(ぶじ)な姿(すがた)があったのです。そして、その木っぱの下には、一ぴきの大きな亀(かめ)が死んでいました。子どもとともに流されたつまが、亀になってわが子を助けたのでしょう。いつもつまや子どもをだいじにし、いっしょうけんめい仕事にはげむ青年の願(ねが)いを、神様がきいてくださったのでしょう。 青年は亀をていねいにほうむり、そこに一本の松(まつ)を植えました。この松は成長(せいちょう)するとともに、亀の姿(すがた)ににてきました。 村人たちは、いつからともなく亀の松とよぶようになり、漁師(りょうし)が船で伊勢(いせ)まいりに行く時には、いつもこの松に、海の安全をいのって行ったといいます。 (「のびゆく浅羽」より) |
現在の亀の松 |
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