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第80話 | (のんべさま) のんべさま(磐田市) |
袋井の南の方に馬伏塚(まぶしづか)というお城の跡があります。今から430年ほど前、天正2年6月、今川氏の軍勢が攻め寄せました。このお城を守っていたのは織田氏の一族で、野辺越後守当信(のべえちごのかみまさのぶ)といいました。敵は多勢で、ついに当信も長男の当公(まさきみ)も戦死してしまいました。当信の奥方は残る二人の子どもとともに家来に守られてお城にいましたが、敵の攻めがきびしく、わずかな家来を連れて逃げ出しました。 次の日の朝、敷地村妙林庵(みょうりんじ)に足をひきずりながら着きました。寺の中からは、朝のおつとめで木魚の音がポクポクと聞こえていました。その時、静かな朝風におくられて敵の人馬の音が聞こえてきました。奥方は、二人の子どもに家来をつけて尾張(おわり)の織田氏を頼るように逃がしました。そして自分は、薙刀(なぎなた)を取って立ち上がり、敵と戦って討ち死にしてしまいました。 この妙林庵は、今の豊岡東小学校のある所にありました。また、奥方の腰かけた石は、野辺神社(学校の北側)の鳥居の前にあります。なお、野辺氏のお墓は永安寺(学校の北側)にあります。 次男は、後に野辺越後守当久(まさひさ)となって、京都の本能寺で信長とともに討ち死にしました。奥方のお持ちになった薙刀は永安寺の宝物となっています。 (「静岡県伝説昔話集」より) |
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