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第65話 | (おじぞうさまをぬすんだおとこ) お地蔵様をぬすんだ男(森町) |
森町の睦実の宗源寺というお寺に、美しく、とうといお地蔵様がまつってありました。 ある日のことでした。夕方おそくなってから、男が宗源寺にやってきて、「とまる所がなくて困っています。一晩泊めてくださいませんか」と言いました。おしょうさんは気のどくに思い、泊めてあげ、男を親切にもてなしました。 ところが次の日の朝早く、弟子がおしょうさんの部屋に駆け込んできて、「おしょうさん、大変です。お地蔵様がなくなっています。あの男の姿も、見あたりません」と言うと、おしょうさんは、「そうか。お地蔵様を隠しておけばよかった。罪なことをしてしまった」と言いました。 その時でした。夕べの男が、ぼろきれにつつんだお地蔵様を持ってお寺に入って来ました。 「おしょうさん、このお地蔵様を盗んでしまい申し訳ないことをしてしましました。逃げているうちに、恐ろしくなってしまったので、お返しにまいりました。どうか、わたしの罪をお許しください」 と言って、お地蔵様を差し出し、深く頭を下げました。 「悪いと気が付けば、とがめはしないが、また、どうして返す気になったのかね」とおしょうさんは、やさしく尋ねました。男は、「どこかに持って行って売れば高いお金になるにちがいないと思って、盗みましたが、自分のすぐ後ろで、バタバタという足音がずっと聞こえ、足音におびえながら一晩中歩きました。ハッと気付くと宗源寺に再び戻っていました。私は、ばちが当たったのだと思いおわびに参りました。どうぞ、お許しください」と涙を流しながら話しました。 (「森町ふるさとの民話」より) |
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