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第49話 | (さくらごぜんさま) 桜御前さま(森町) |
昔、都に桜姫という方がおられました。姫は、藤原中納言の奥方になられましたが、子供が生まれて間もなく保元の乱が始まり、中納言は敗れて島流しになってしまいました。桜姫は、都に子供を残して尼となって旅に出ました。 雪の北陸の道から関東へ出て、都へ戻る旅は何年も続き、10年目のころ、東海道を西へ進んでいました。そのころ森のまちには文武天皇の勅願の寺で有名な蓮花寺というお寺がありました。このお寺に立ち寄れば、都の様子も聞かれるに違いないと思い、袋井より大田川をさかのぼって蓮花寺へやってきた姫は、森の町がたいへん気に入ってしまいました。上品な顔立ちをしていて、頭も良かったので子供たちにも好かれ、手習いも教えるようになった桜姫は、土地の人々に「御前さま」と呼ばれるようになり、庵を結び森のまちに住みつくようになりました。 いっぽう、中納言は罪がはれて都に帰り、戦いで焼けた屋敷跡に、大きな家を建て、屋敷の中にたくさんの桜を植えました。そして毎年、桜の花を眺めながら桜姫の帰りを待っていたために、「桜待中納言」と呼ばれるようになりました。そんなこととはつゆしらず桜姫は、森のまちでずっと暮らしていました。 ある日のこと、桜姫は、病のとこにつき、まちの人々の看病もむなしくこの世を去りました。気の毒な桜姫のためにまちの人々は、塚をつくって厚く葬りました。塚に通じる道を「小御門小路」と読んだそうです。その桜姫の石碑が今も森小学校校庭の片隅にあります。 (森町教育委員会発行「森町ふるさとの民話」より) |
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