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第29話 | (しっぺいたろう) しっ平太郎(磐田市) |
見付天神裸祭りは大昔、泣き祭りといって、人見御供の行事が行われていた。祭りの初めになると、どこからともなく白羽の矢が町家の棟高く突き刺さり、その家にいる年頃の娘は、生きたまま柩に入れられ、8月10日(旧暦)の真夜中に見付天神へお供えするというしきたりになっていた。 延慶の年(1308年)に雲水という僧が見付の宿を訪れ、この祭りの話を聞いた。大変哀れに思い、何とかこの様な事がなくなるようにと、苦心難業の修法をした。 その結果、これは妖怪の仕業であることがわかり、その修法の中で「信州の国のしっ平太郎に知らせるな」という妖怪たちの話し声を聞いてしまった。 これを聞いた雲水は、早速、しっ平太郎を探す旅に出た。根気よく探しているうちに信濃の国(現・長野県駒ヶ根市)の光前寺に飼われているたくましい猛犬と出会った。大急ぎで見付に戻った雲水は、この年の八月になる頃、しっ平太郎を娘の代わりに柩に入れると、町人たちと協力して見付天神の社前へ運んだ。 妖怪が柩を破ると、中にいたしっ平太郎が猛然と飛び出し、長い格闘の末、ついに妖怪は退治された。町人はこの立派な働きぶりに感謝し、丁寧に介抱して光前寺に送り届けたと伝えられている。 (「磐田昔物語」より) |
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